えほんについてのコラム

2017.08.07

絵本はコミュニケーション能力を育てる最高のツール

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現代の日本はコミュニケーションの機会が失われている

以前の日本は、4人きょうだいや5人きょうだいが当たり前という家族構成でした。そうなると、生活の中できょうだい喧嘩をしたり、激しく言い合いをしたりすることになりますね。同じくらいの年齢の子どもとコミュニケーションをとることは、非常に大切なことです。しかし今では、一人っ子の家庭がたいへん多くなっています。追手門学院小学校でも、かなりの割合の児童が一人っ子のご家庭です。
その上、現代のテクノロジーは、人と人とのコミュニケーションをどんどん奪う方向に進んでいるように思います。たとえば昔の日本でしたら、親と一緒に出かける際、電車の切符を買うのは子どもの役目でした。切符を買うには、駅員さんに「○○駅まで大人一枚、子ども二枚……」と伝えられなければなりません。その中で、親から「きちんと挨拶をしなさい」と礼儀を教えられることもありました。そうしたことを注意されながら、言葉を介した人とのつき合い方を育てていったわけですね。
しかし今では、券売機は機械になってしまい、会話の必要はありません。携帯電話がこんなに普及する前は、たとえば彼女の家にかけたはずが、親御さんが出て……ということもあったわけですが(笑)、今ではそういったことは起こりません。いつでも連絡がとれる、という便利な側面もありますが、その一方で、コミュニケーション力を鍛える機会はどんどん失われていると言えるでしょう。

思いを言葉で説明できる子になって欲しい

言葉で説明する力のある子は、「キレにくい子」になります。よくある笑い話で、「先生、トイレ」「先生はトイレじゃありません」という掛け合いがありますが、これは「単語だけでは思いは通じない」ということですよね。きちんと言葉で自分の思いを説明できるようになって欲しいという願いから生じる会話なのです。
親が絵本の読み聞かせをすること、そして親子で絵本の内容について話をすることは、コミュニケーション能力を育てるのに役立ちます。
ただし、私が保護者の方に言うのは、親の側から「どんなお話だった?」「どう思った?」と感想を催促するのは絶対にダメだということなのです。親の側からまるでテストのように内容を尋ねるのではなく、子どものほうから自然に「こう思ったよ」と感想が出てくるのを待つのが理想であり、親の役目ではないでしょうか。

追手門学院小学校 東田充司校長

追手門学院小学校の入学式では、私は毎年必ず絵本を使って新入生に語りかけます。絵本には創造性を育む魅力があり、コミュニケーション能力の育成をはじめとして、多くの教育的効果をもたらしてくれます。 また、追手門学院小学校では、「弁論大会」「文化祭」「臨海学舎3Km遠泳」など多くの行事を通して子どもたちを育てています。行事を通して子ども達は、「全員でひとつの目的を達成する」という目的意識、上の学年や同級生への憧れ意識などを持ち、自分を高めていくことができます。これらはマンツーマン教育・少人数教育だけではなかなか得られない体験であり、「社会有為の人材の育成」を教育理念とする追手門だからこそできる、集団教育の良さなのです。

追手門学院小学校 東田充司校長のコラム