えほんについてのコラム

2017.08.26

国際社会で不可欠な「アピール力」を絵本で養う

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子どもが「語り手」になれる一冊を探す

絵本とのふれあいで大切だと思うのは、「お気に入りの一冊」を見つけることです。
私の場合、お気に入りは『ちびくろさんぼ』でした。母親が読み聞かせをしてくれた抑揚が、未だに耳に残っています。何度も何度も読み返したので、ぼろぼろになっていますが、手元に大切に残しています。子どもが気に入った絵本を見つけると、自分から手に取ってそこまで読み込むものなのです。
絵本を読み込んだ子どもは、今度は自分が「語り手」になります。たとえば、きょうだいの下の子であったり、ときには近所の知らない子にすら読み聞かせをし始めるんですね。これまでは絵本の「受け手」であった子どもが、「語り手」になれるというのが、「お気に入りの一冊」の力です。

きっかけは「インターネットのランキング」でもいい

さて、「お気に入りの一冊を見つけることが大切」というと、必ず保護者の方から「どうやって探すのがいいですか?」とのご質問をいただきます。
私としては、特別なことをしなくとも、家の中にある本から自然と「お気に入り」が出てくるものだと思います。「そうは言ってもいいものを選びたい」ということでしたら、インターネットのレビューなどを利用して、「おすすめの10冊」などを買ってみるのもいいのではないでしょうか。それも立派な「出会いのきっかけ」だと思います。
(同じく、「自分が語り手になる」という点が満たせるのでしたら、絵本に限らず、「サッカーの図鑑」「植物の図鑑」でも構わないと思います。)

「得意なこと」をアピールするのが苦手な日本人

今、世界はますます国際的な結びつきの強いグローバル社会となってきています。世界で活躍するためには、コミュニケーション能力、そしてアピール力が求められるようになってくるでしょう。
ところが日本人は、「黙して語らず」が美徳とされる文化があり、「自分の優れているところをアピールすること」が不得意なのです。お気に入りの一冊を見つけ、その語り手になることで、国際競争には不可欠な「アピール力」の基礎を養うことができるのではないかと思います。
ちなみに追手門学院小学校では、「アピール力」をつけさせるために、文化祭で学級毎に劇発表を取り入れています。ヨーロッパでは特設科目としての「演劇」の時間があるのが普通で、学校には演劇ホールがあります。集団で何かをすることで、自分の個性が引き立ち、そして、自分の良さをアピールすることができるのです。「学校」という集団ならではの教育方法だと言えるでしょう。

追手門学院小学校 東田充司校長

追手門学院小学校の入学式では、私は毎年必ず絵本を使って新入生に語りかけます。絵本には創造性を育む魅力があり、コミュニケーション能力の育成をはじめとして、多くの教育的効果をもたらしてくれます。 また、追手門学院小学校では、「弁論大会」「文化祭」「臨海学舎3Km遠泳」など多くの行事を通して子どもたちを育てています。行事を通して子ども達は、「全員でひとつの目的を達成する」という目的意識、上の学年や同級生への憧れ意識などを持ち、自分を高めていくことができます。これらはマンツーマン教育・少人数教育だけではなかなか得られない体験であり、「社会有為の人材の育成」を教育理念とする追手門だからこそできる、集団教育の良さなのです。

追手門学院小学校 東田充司校長のコラム